LD(学習障害)とは、全般的な知的発達に遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった能力のうち、特定の能力に対する習得および使用に大きな困難を示す状態を言います。
原因としては、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されており、環境的な要因が直接的な原因となるものではありません。
明確な知的な遅れや障がいが見えにくいのですが、保護者が何かほかの子どもとは違うひっかかりや気になる点、育てにくさを感じることが多く、また比較的男児に多くみられる傾向があります。
参考:「学習障害児に対する指導について(報告)」学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議(1999)
ADHDは、「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害のひとつです。
学齢期の小児の3~7%程度にその症状が見られるといわれ、ADHDを持つ子どもの脳では、前頭葉や線条体と呼ばれる部位のドーパミンの機能障害が考えられています。
その特徴としては活動に集中できない、気が散りやすい、物をなくしやすいなどの「不注意」とじっとしていられない、待てない、他人のじゃまをしてしまうなどの「多動-衝動性」が同年齢の中でも強く頻繁にみられます。
ADHDを持つ子どもの場合、意識的に症状・軽減するのは困難であり、それを叱責されるなどの周囲の行動によって、否定的な自己イメージを持ち、学業不振や対人関係で悩んだり、気分が落ち込んだり、不安感を高めるなど心の症状を合併することもあります。
よって、ADHDを持つ子どもに対しては「環境への介入」「行動への介入」「薬物療法」などを組み合わせて行うと効果が高いといわれています。
ASDは生まれつきの脳機能障害で、自閉スペクトラム症の人は約100人に1人いると報告されています。性別では男性に多く、女性の約4倍の発生頻度と言われています。
障がいの程度は様々ですが、言葉の遅れ、反響言語(オウム返し)、会話が成り立たない、格式張った字義通りの言語など、言語やコミュニケーションの障害が認められます。
乳児期から、視線を合わせることや身振りをまねすることなど、他者と関心を共有することができなかったり、学童期以降も友だちができにくかったり、友だちがいても関わりがしばしば一方的だったりと、感情を共有することが苦手で、対人的相互関係を築くのが難しい場合が多いようです。
また、一つの興味・事柄に関心が限定され、こだわりが強く、感覚過敏あるいは鈍麻など感覚の問題も認められる場合もあります。
信頼できる専門家のアドバイスをもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な支援につなげていくことが大切です。